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2006 | 03 | 04 | 07 | 08
一人映画祭  
2006年3月07日(火曜日)
【博士が愛した数式】 17:31  cin 
どうも、ご存知の方も、そうでない方も、初めまして。

2006年1月某日、今年1発目の映画を観ました。

【博士が愛した数式】
シネマシティ 立川
・お勧め度
 「数学に一度でも美を感じた人」 4つ星
 「深津絵里が好きな人」      4つ星(涙あり)
 「小川洋子作品の好きな人」   0つ星

何故、この映画を観たかというと、
原作の小川洋子が大好きだったからです。
かれこれ5年前、就職活動も一段落をし、卒研もまだ忙しくなかったある日、
学校の図書館で手に取った本が、小川洋子の「沈黙博物館」でした。
その時は確か他に読みたい本がメインにあって、
なんの気なしに、タイトルだけで選んだのを覚えています。
(後から思うと、好きな作品の多い中でも上から1、2番に入るので、かなり良い選択でした。
一番のお勧めは、「密やかな結晶」です。
小川洋子作品の魅力の全てが詰まっていると言って過言ではありません。)
そこから小川洋子ばかりを漁るようになりました。
正直、活字離れしているので、あれから小説で小川洋子以上に、
誰か一人の作品ばかりを読むという事はないです。
何がそこまで惹きつける魅力かというと、
「哀しみで満ちた水中をゆるやかに沈みながら、
日の光できらめく水面を静かに眺めるような感覚」
になるからです。
分かりやすく言うと、というか、
映画公開のおかげで急激に増加した、小川作品の批評サイトから抜粋しますと、
「ただ静かに過ぎてゆく時間が心地よい物語。」
「風景や街並や祭りなどの一連の情景描写はどこか幻想的な美しさを醸し出し、簡潔ながら効果は鮮やか。
一方、妙に猟奇的な場面があるが、全然生々しさがなくて、不思議なくらい不快感がない。」
「極限状態を、小川洋子特有のしっとりとした美しい言葉たちでつづられています。」
「小川洋子さんの作風は、物語を「紡ぎ出す」という表現がぴったりだと思います。
透明感や美しさに溢れていて、読み出すと一気に引き込まれる不思議な世界でした。
淡々と描き出される日常や、人と人との交流には心温まり、まさに小川さんの魅力が満載・・・
その一方で、あまりにも報われない喪失、哀しみに満ちた世界観はこれまたまさに小川さんの魅力・・・
あ〜いい作品だったなぁとしみじみ思う一方、読まなきゃよかったとも思う作品でした。
哀しい・・・ 」
と、小川洋子作品を語るには、「静か」「幻想」「哀しみ」「淡々と」「美」といった言葉が必要になってくきます。
「幻想的で哀しい設定なのに、主人公は静かに受け止め、身をゆだね、淡々と物語はすすむ」
と書くと、ともすると、つまらそうに感じると思うのですが、「静かに受け止める」ってところに、
小川洋子作品の醍醐味があると思います。
その受け止め方が爽やかで、共感し、そして少し苦いんです。

いかに、小川洋子作品が好きか分かって頂けたかと思います。
そこで、今回の「博士が愛した数式」ですが、
これも3本の指に入る好きな作品の一つです。
その内容は、他にも沢山転がっているので、あえて書きませんが、
深津絵里が出て小川洋子作品、チラシを見つけ、
上演をするという事を知った時には鳥肌衝撃が走ったぐらいです。

だけど、正直、映画を観るのが怖い気持ちもありました。
よく原作を読んでから映画を観ると、
大抵原作の方が良かったと思う事が多く
そもそも、小川作品の魅力は、
「摩訶不思議な残酷でもある設定」を「淡々と受け止める」のが魅力なんです。
映画としての盛り上がりをどう作るんだろうか。
それが頭をよぎったのです。
そして、CMで寺田聡が泣いているシーンを見たときに、
その不安は大きくなりました。
僕の中の「博士」は、決してあんな風に取り乱して泣かないからです。
そして、それこそが僕が小川作品が好きな一番の理由だからです。

ここまで書けば想像ついたと思いますが、
映画自体は、数学の魅力が伝わってきたり、静かであたたかな気持ちも伝わってきましたが、
小川作品としての魅力は、皆無でした。
別ものとして観る分には、そこそこ面白いと思いますが、
僕にとっては、全くもってつまらない映画でした。
原作が小川洋子なのを売りにしているのをやめて欲しいぐらいに。

2006年の1作品目としては、非常に残念だし、
つまづいた形のスタートとなりました。


また、幕が降りたらお会いしましょう。

〜物語の始まりは、日常の終わり
  物語の終わりは、日常の始まり〜
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