いろんな食べ物について書けますね。 日本人に罪悪感を感じさせる倫理的な村井氏の本であるが、 以前、氏の講演を聴いた後、氏がうまそうにタバコを吸ってるのを見て、 少し幻滅しました。 エビを買うのは、途上国の民に所得を生じさせるという効果があるけど、 タバコは、国民医療費を増大させる最も愚かな行為だからである。
「エビというのは、どこか人間を翻弄するようなところがある。私も翻弄された一人でしょう・・・」 とは、この本で引用されている台湾でブラックタイガーの養殖技術を確立した台湾の廖さんの言葉です(誰だそりゃ)。 この本はタイトルが『エビと日本人』となっていますが、実際の内容としては前半が著者がインドネシアのエビ養殖業者を訪れた時のルポルタージュっぽい内容、後半が様々な「エビ」のデータを通してみた日本と発展途上国の関係や、生活の格差について著者が問題提起、という構成になっています。 著者が最も問題にしているのは、日本人は世界で一番多くエビを輸入し食べているくせに、それを生産している第三世界の人々については何も知らないということです。 そして、私達日本人がエビをたくさん輸入し、食べることで、それらの人々の生活にどのような影響があるのかも。 当たり前ですが、これはエビだけに限った話ではありません。この本はエビはもちろん、エビ以外の食べ物でも、日本人が日常何も考えずに食べている物について、ほんの少しでも考える機会を与えてくれるはずです。 そういった意味で初版が上梓された約20年経った今でも(というよりも今の方が)、読まれることに意義がある本だと言えるかもしれません。
「バナナと日本人」のエビ版である。 農水産物に拘ることで 東南アジアを浮かび上がらせ その中で日本がどのようなポジションにいるのかを浮き彫りにする 鶴見や村井の手法は 鮮やかなものである。 僕らも普段日本にいて 当たり前のように食べているバナナやエビが いかなる背景を持っているのかに関しては 無頓着なものだ。 勿論食べている僕らに罪はないのかもしれないが きちんと背景を踏まえると 「美味しい」だとか「不味い」であるとかでは 簡単には済まされないということを感じてくる。 結局 無意識に生活していると 見えていないものだらけだ。物事を「見る」努力は 実は大切なのだと 今 思っているところである。その意味でも本書は重要な一冊だ。
「私たち日本人にとっては、エビをたくさん食べられることは、うれしいことだ。だが、一方で、第三世界の資源枯渇が心配され、零細漁民が困窮し、人々の食卓からエビが消えるとしたらこれは手放しで喜んでいられる事態ではない。」(P9) 日本がエビを輸入するということ。それは、国際関係論では「相互依存の深化」と呼ばれる、日本とアジア諸国の経済的結びつきの増大である。しかし、「相互依存」などという抽象的な言葉では決して見えてこない現実がある。この本は、20年近く前に出版された古い本だが、今日においても一読の価値はある。広く先進国・途上国関係を学ぶ上で非常に考えさせられる一冊である。
初版が1988年。大手書店で平積みされていたものを購入したが、2004年1月で35版まで増刷されている。内容はエビの乱獲と養殖、日本人のエビの輸入が及ぼす諸外国への影響などについて、現地で丹念な取材をしている。またエビの生態などにも言及し、とても面白く読めた。ただ読み終えて、「現在はどうなっているのだろうか」を知りたいという一種のフラストレーションを感じた。